|
評価:
太宰治
角川春樹事務所
|
JUGEMテーマ:
小説/詩『ヴィヨンの妻』『秋風紀』『皮膚と心』『桜桃』
私は、とくに『皮膚と心』が好きです。
女性が、自分の乳房のあたりにできた発疹を気味悪がって、いろいろ悩む話。
「からだを、みんな見せなければいけないかしら」
「そうよ。」あの人は、とても上品に微笑んで答えました。「お医者を、男と思っちゃいけねえ。」
私は顔を赤くしました。ほんのりとうれしく思いました。
女って、こんなものです。見えない秘密を持っております。
んー、太宰は男性なのに、どうしてこんなに綺麗に女性の気持ちを書くのだろう。
ちょとそれはジェンダーちっくでもあるのだけれど、でも私の心の中と合致するところがある。そして、がむしゃらに光を見つめようとするのではなく、根底にあきらめや悲しみが流れているのが、また好き。身の丈、というか。でもでも、かといって絶望しているのではなく、幸せをそこに見つめているかんじ。
それが、太宰の魅力なのではないかしら。うまくはいえないのだけれど。